二十四節季の6番目の節季、新暦では4月20日頃。
七十二侯では初項「葭始生」次候「霜止出苗」末候「牡丹華」となりそろそろ田植えの時期です。穀雨とは穀物に実りをもたらす雨が降り注ぐという意味です。
旬の行事
八十八夜(はちじゅうはちや)
日本独自の雑節の一つ、立春から数えて八十八日目にあたる日の事で5月2日頃。江戸時代に日本独自の暦をつくった渋川春海が暦に記載したとされている。「八十八夜の別れ霜」などといわれ遅霜への注意を促している。本格的に夏が始まる節目で、茶摘みや農作業を始めるのによいとされる。これは八十八を重ねると「米」という字になる事から縁起をかついでとの事。
端午の節句(たんごのせっく)
5月5日頃、端午とは月初めの午(うま)の日という意味で、本来は5月に限らない。古来中国では5月の端午は「五」が重なる事から重五と呼ばれ邪気を払う行事が行われてきた。日本では田植え前、早乙女たちが菖蒲とヨモギで葺いた屋根の下で身を清め厄払いをしていた事が結び付き、菖蒲湯に入るなどの習わしが生まれたと考えられている。端午の節句が男の子の祭りに変わったのは江戸期頃とされ、菖蒲が尚武(しょうぶ:武事を尊ぶ)、勝負に通じる事からひろがったとされている。
旬の事柄
山笑う(やまわらう)
俳句における春の季語、草木が萌え始めた、のどかで明るい春の山の形容。特に落葉広葉樹が多い里山では山全体が柔らかな色でほんのりと色づく。蕗やたらの芽といった里山の恵みが得られるのもこの時期。
旬菜
筍(たけのこ)
手入れのよくされた竹林では、竹を結ぶ線上で土を盛り上げやがて筍が顔をだします。掘りたてのものほど美味しく、土から顔を出す前の小さな筍を掘ってすぐ食べるのがお勧め。
旬の料理
柏餅(かしわもち)
端午の節句には欠かせない供物として用いられている。室町時代から書物に登場し始めるが全国にひろがったのは江戸期。ただし関西圏では柏の木は自生していないので文化圏としては東日本が一般的。柏の葉は新芽が育つまで古い葉が落ちないため家系が絶えない。後継ぎが絶えないようにという縁起をかついだもの。